先に結論を書く。マットレスは価格じゃなかった。7〜8万円出して買ったベッドで腰を痛めて、ホテル暮らしでいろんなベッドを試して、逆方向の実験として寝袋を床に直置きして半年近く過ごしてみて、最終的に今いちばんしっくりきているのは1万円くらいのコイルマットレスだった。

前の記事でこのマットレス遍歴に少し触れたけど、書ききれなかったので今回は時系列で全部書く。

コアラマットレスは良かった。でも柔らかすぎた

最初に使っていたのは、コアラマットレスのセミダブル、7〜8万円くらいのウレタン系マットレスだった。質そのものは良くて、しばらくはよく眠れていた。一人で使うにはセミダブルというサイズもちょうどよかった。

ただ、使い続けるうちに違和感が出てきた。体がウレタンに沈み込む感覚が強くなって、そこから腰の痛みを感じるようになった。マットレスが壊れたとかへたったというより、単純に自分の体には柔らかすぎたんだと思う。

ホテル暮らしで気づいた「柔らかいベッドは寝すぎる」

ちょうどホテルを転々とする生活をしていた時期でもあって、いろんなベッドで寝る機会があった。そこで気づいたのが、柔らかいベッドは寝すぎてしまうということ。一度横になると体が沈み込んで、起き上がるのが妙に億劫になる。柔らかさは寝心地の良さと直結するわけじゃなくて、「動きにくさ」にもつながるんだと、このとき初めて実感した。

逆方向の実験、寝袋を床に直置きして半年

コアラマットレスを手放したあと、寝袋を床に直置きして寝る生活を半年くらい続けたことがある。柔らかさで腰を痛めたなら、逆に硬い方に振り切ったらどうなるか、という半分実験のようなつもりだった。

体は慣れるもので、眠れなくなるということはなかった。ただ、住環境も含めて精神的にもしんどい時期と重なっていて、今振り返ると寝具だけの話じゃなかったと思う。それでも、床に近い硬さで半年過ごした経験は、後で「自分にとってのちょうどいい硬さ」を判断する材料になった。

引っ越しを機に、1万円のコイルマットレスに落ち着いた

引っ越しのタイミングで、今度は1万円くらいのコイル入り、反発強めのベッドに変えた。柔らかすぎて腰を痛めた反省と、硬すぎる床で半年過ごした経験の、ちょうど間くらいの硬さだったんだと思う。今のところ、これといった不満はない。

あとで知ったんだけど、マットレスの硬さと腰痛の関係を調べたLancet誌の研究がある(Kovacs FM et al., 2003)。慢性的な腰痛のある人313人を対象に、硬めのマットレスと中程度の硬さのマットレスを比較したところ、中程度の硬さの方が腰の痛みや動きにくさの改善で良い結果が出たという報告だ。整形外科医の多くはそれまで硬いマットレスを勧めていたけど、その根拠は思ったより薄かった、というのがこの研究の背景にあるらしい。対象はあくまで慢性腰痛のある患者さんなので、これがそのまま万人の快眠に当てはまるとは言えないけど、「硬ければ硬いほどいい」わけじゃないという方向性は、僕の体感ともわりと近かった。

体圧分散という言葉の中身

マットレス選びでよく出てくる「体圧分散」という言葉は、要するに体重が腰やお尻など一部に集中しすぎないよう、マットレス全体で支えるという考え方だ。柔らかすぎると体が沈み込んで逆に一部に圧力が集中しやすくなり、硬すぎると今度は接地面がゴツゴツして寝返りのたびに体が起きてしまう。柔らかい・硬いの二択じゃなく、自分の体重や寝姿勢に対してちょうどいいバランスがどこかにある、というくらいの理解で今は十分だと思っている。

結局、マットレスは価格じゃなかった

7〜8万円のマットレスで腰を痛めて、1万円のマットレスで今のところ不満がない。だからといって「安いマットレスの方がいい」と言いたいわけじゃない。値段と自分への合いやすさは、必ずしも比例しないということが言いたいだけだ。高いものが悪いわけでも、安いものが正解なわけでもなくて、自分の体に合う硬さがどこかにあって、それを見つけるまでの過程に、僕の場合はけっこう遠回りが必要だった、という話。