これはコロナ禍の話だ。当時、アパホテルが1泊2,800〜3,300円くらいで泊まれる時期があって、正直コスパが良すぎた。

契約も敷金礼金もいらないし、掃除もベッドメイクも向こうがやってくれる。「部屋を持たずにホテルを転々とすればいいんじゃないか」と思って、しばらく本当にそうしてた。

身軽さは本物だった

実際、この読みは当たっていた。掃除はハウスキーピングがやってくれるし、ベッドリネンも交換される。故障しても自分で直す必要はない。

「住む」ことにかかる手間がほぼゼロになる感覚は、やってみないと分からないくらい気持ちよかった。Wi-Fiとコンセントさえあれば仕事も動くので、環境の制約も思ったより少なかった。拠点を持たない働き方、いわゆるノマド的な感覚を初めて体で覚えたのもこの頃だった。

平日は安かった。土日が壊れてた

問題は土日だった。平日はその値段で普通に泊まれるのに、週末になると同じ部屋が急に1泊1万円を超えてくる。「毎週末そんな金を払うくらいなら」と思うようになったのが、この暮らしを見直すきっかけだった。

実際、月いくらかかってたか

平日の単価だけで単純計算すると、1泊3,000円前後×30泊で月9万円前後になる計算だった。ここに食費なんかの生活費が別で乗ってくるので、家賃と単純比較するにはホテル代だけ見ても足りない、というのが正直な感覚としてある。それでも敷金礼金や家具家電を揃える初期費用がゼロなことを考えると、身軽さも含めての損得だったと思う。

ホテル暮らしで地味に疲れたこと

いいことばかりでもなかった。荷物を最小限にしてても、移動のたびに何かを詰め直す作業は地味に消耗した。自分の家具や物に囲まれてる安心感みたいなものは、やっぱりホテルにはない。身軽さと引き換えに、生活の手触りみたいなものは確実に薄くなってたと思う。

だったら東南アジアの方が安い

土日の宿泊費が1万円を超えるようになったタイミングで、国内でホテルを転々とするより東南アジアで生活したほうが安いんじゃないかと思って、実際に切り替えた。マレーシアではビザの期限ぎりぎりまで、3ヶ月くらい滞在してた。

今振り返って思うこと

コロナ禍だからこそ成立していた話で、今アパホテルが同じ値段で泊まれるとは思っていない。ただ、「固定の部屋を持たない」という発想そのものは、あの時期に体で覚えた感覚として今も残ってる。賃貸と比べて得だったか損だったかは、正直今でもはっきり言い切れない。手間と身軽さを買っていた、くらいの感覚が近い。

何かにコストが偏りすぎたとき、住む場所ごと動かすという選択肢が頭に浮かぶようになったのは、この経験があったからだと思う。